近くにいるはずなのに、心の距離だけがどうしても測れない。何度「愛してる」と伝えても、あなたの瞳はどこかを彷徨っている。夜空に浮かぶ半月のように、欠けたまま埋まらない二人の関係。好きという言葉の本当の重さを知りたくて、不安な気持ちが安心に変わる瞬間を願い続ける。10th Digital Single「Painful one-sided love」は、同じ温度で愛されたいと願う切ない恋の温度差を描いた一曲だ。
「Painful one-sided love」は、どんな感情から生まれた楽曲ですか?
恋人同士のように近い距離にいるのに、心の中ではずっと片想いをしているような感覚ってあると思うんです。言葉では「好き」と言ってくれている。けれど、その言葉が自分の注いでいる愛と同じ重さなのか分からない。その不安が、この曲の出発点でした。
本当の片想いではなくても、愛の温度が揃わない瞬間は人をすごく孤独にするんですよね。相手が隣にいるからこそ余計に遠く感じる。その近さと遠さが同時に存在する痛みを、できるだけ正直に歌にしたかったんです。
「同じ温度で愛してほしい」という言葉が印象的です。
愛って量で測れないものですけど、温度なら分かる気がしたんです。熱すぎる愛もあれば、穏やかな愛もある。でも一番苦しいのは、自分だけが熱を持っていて、相手の温度が見えない時なんじゃないかって。
「同じ温度で」という言葉には、相手を責めたい気持ちよりも、ただ確かめたいという願いが込められています。自分が重すぎるのか、相手が冷たいのか、それともただ表現の仕方が違うだけなのか。その答えが分からないまま、ずっと心の中で体温計を当て続けているような曲です。
窓に映る横顔や半月など、視覚的なモチーフが多く登場します。
真正面から見つめるのではなく、窓に映った横顔を見ている。その距離感がこの曲には必要でした。相手のことを知りたいのに、直接問い詰めることはできない。だから反射した姿や、ふとした表情から気持ちを読み取ろうとしてしまうんです。
半月も同じで、満ちていない関係の象徴として出てきました。欠けた部分を埋めたいのに、手を伸ばしても触れられない。半分は見えているのに、もう半分は見えない。その不完全さが、相手の心を全部知ることはできないという恋のもどかしさに重なったんです。
「好き」という言葉の重さを知りたい、というテーマについて。
同じ「好き」でも、人によって込めている意味が全然違うと思うんです。挨拶のように軽やかな「好き」もあれば、人生を差し出すような「好き」もある。言葉は同じなのに、その中身までは見えない。そこに不安が生まれるんですよね。
この曲の主人公は、相手の言葉を疑いたいわけではないんです。ただ、その言葉の奥行きを知りたい。自分が注いでいる愛を、相手はちゃんと受け止めてくれているのか。受け止めているなら、どれくらいの深さで受け止めているのか。その確認したくてもできない場所に、この曲の切なさがあります。
英語詞で書かれていることには、どんな意味がありますか?
日本語で書くと、どうしても感情が近くなりすぎる気がしたんです。切実な不安をそのまま日本語にすると、少し生々しくなりすぎてしまう。英語にすることで、感情との間に薄いガラスを一枚置けるような感覚がありました。
でも距離を取ったからこそ、逆に本音が浮かび上がる部分もあります。Could you love me? という問いはとてもシンプルだけど、その裏には、愛されているはずなのに安心できない複雑さがある。英語の直接性と、感情の奥にある揺らぎ。その両方を使いたかったんです。
最後に、この曲をどんな人に届けたいですか?
誰かを好きでいるはずなのに、安心よりも不安の方が大きくなってしまう人に届いてほしいです。愛しているから幸せ、という単純な話ではなくて、愛しているから怖い、愛しているから確かめたくなる。そういう気持ちを抱えている人は、きっと少なくないと思うんです。
この曲は、不安を責める歌ではありません。不安になるくらい真剣に人を想っている自分を、少しだけ抱きしめるための曲です。いつかその不安が安心に変わるように。相手の心を覗けなくても、言葉と温度が少しずつ重なっていくように。そんな願いを込めました。