まるで月を見上げる地球のように、互いに惹かれ合っているのに寄り添うことの叶わない距離の中で。それでも相手を想い、たとえ遠く離れてもあなたのことを想い続けている。そんな一筋の流れ星ような願いを歌う一曲。

Q.01

「23.4°」という数字をタイトルに選んだ理由は?

23.4°は地球の地軸の傾きなんです。この傾きがあるからこそ四季が生まれるし、太陽との角度で季節が移ろいていく。つまり、人間が四季を感じるのはこの角度のおかげなんですよ。でも同時に、僕はこれを個人的な距離感にも重ねたいと思いました。

小柄な彼女が隣の彼を見上げる時の首の角度も、ちょうど23.4°に近いんじゃないかって。つまり、宇宙的なスケールの距離と、すぐ隣にいるのに届かない個人的な距離感——これら二つを同じ数字で表現したかったんです。

Q.02

天文学的なスケールと個人的な距離感を重ねるという発想について。

人間の感情って、実は宇宙的なスケールを持っていると思うんです。小さなことから大きなことまで、すべてが繋がっている。月と地球の関係って、最初から寄り添えないんですよ。月は地球を照らし、地球は月を見上げるしかない。でも互いに引き合う力は確実にある。

恋愛もそれと同じ。相手がいくら近くにいても、完全には一つになれない。でも光を交わし合うことはできる。そういう切実な関係性を描きたくて、天文学的なイメージを使ったんです。宇宙のスケールで考えると、自分の叶わない想いも、宇宙的には当たり前のことに見えてくる。そこに少しだけ救いがあるんじゃないかって思って。

“23.4° ずっと見つめていたいよ”
Q.03

「三日月に募る想い」という歌詞が印象的です。

三日月は、満月に向かって日々成長していく月のこと。つまり完全ではない状態。その不完全な月に募る想いって、恋愛そのものを表していると思ったんです。相手のことが完全に理解できないからこそ、想いが募っていく。完全な理解より、知らないことの方が多いから、常に相手のことを考え続けてしまう。

また三日月ってすごく美しい瞬間じゃないですか。完璧ではないのに美しい。むしろ完璧じゃないからこそ美しい。その不完全性の中に、恋愛の本質があるんじゃないかなって思いました。

Q.04

叶わない恋をテーマにしながらも、どこか温かさがあります。

この曲を悲劇として歌いたくなかったんです。叶わない恋は確かに切ないけど、相手のことを想い続けられる自分の心情には誇りがあるんですよ。流れ星に願いを託すように、遠く届かない相手にもう一度想いを届けたいという強さがある。それは悲しみではなく、ある種の美しさだと思います。

だから、静かで沈みすぎない、でも素朴なトーンを保つことにこだわりました。相手が遠く見えても、自分の想いは確実にあって、それは温かい。その温度感を音で表現したいと思ったんです。切実さと、でもどこか穏やかな諦めの美学——両方を持った曲になったと思います。

Q.05

サウンドで「宇宙的なスケール感」をどう表現しましたか?

宇宙って、無限だけど静寂に満ちていますよね。だから音数を最小限にして、その静寂の中で音一つ一つが光を放つような構成にしました。イントロから静かで、けれど確実にどこかから声が聞こえてくる。それが地球から月を見つめる感覚を表現していると思います。

また、リバーブを多めに使って、音が宇宙空間に広がっていく感覚を作りました。何もない空間から始まって、徐々に光が増えていく。その過程の中で、二つの天体が互いを見つめ合っている風景を浮かぶようにしたんです。全体的に、引き算の美学で宇宙的なスケール感を表現しました。

Q.06

この曲に込めた願いを、最後に聞かせてください。

この曲を聴く人が、自分の中にある「叶わない想い」を少しだけ肯定できたらいいなって思うんです。世の中って、すぐに「叶わなかったら諦めろ」って言う。でもそうじゃなくて、叶わなくても想い続けることって、そもそも人間らしい行為なんじゃないかって。

23.4°という角度も、まさか地球の地軸だとは誰も気付かない。でもその角度が四季を作ってるんです。自分の想いも、外からは見えなくても、確実に何かを生み出してるんじゃないか。そう思える力を、この曲が与えられたらいい。遠く見える相手に、それでも光を送り続けよう。そういう願いが詰まっています。

天体 距離 四季 願い
Track Information

23.4°

5th Digital Single · 2024.02.15

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