夜のタクシーで一人、流れる街灯を眺めながら人生について考える時間。選んだはずの道に確信が持てず、未来への不安と期待が交差する中で、それでも明日はやってくる。7th Digital Single「Before Dawn」は、そんな気だるくも希望を捨てきれない夜明け前の心境を歌った一曲だ。

Q.01

「Before Dawn」はどのようなきっかけで生まれた楽曲ですか?

深夜のタクシーに乗っていた時の体験がそのまま楽曲になりました。メーターが上がるたびに、ああ、お金が減っていくなって。でもそれと同時に、人生そのものもこうやってメーターが回っているような感覚があって。目的地も決めずにただ走っている自分がいて、それが妙にリアルだったんです。

窓の外を流れる街灯が等間隔で、それが期待と失望の繰り返しに見えた。その感覚をそのまま曲にしたいと思いました。

Q.02

タクシーのメーターを人生に重ねるという発想は独特ですね。

「ワンメーター生きるたび」という歌詞があるんですけど、これは一日一日を積み重ねていくことの比喩なんです。メーターが上がるたびに目的地までの距離を測って、損得勘定してしまう。でも憧れの場所までの運賃はまだ足りない。それでも降りるわけにはいかなくて。

現実的に考えたらネガティブなことなんですけど、走り続けていること自体がもう希望なんじゃないかって。止まらない限り、どこかには辿り着けるはずだから。

“明日もまた朝が来る
生きてりゃきっと何かある”
Q.03

楽曲全体に「気だるさ」と「希望」が共存しています。そのバランスはどう作りましたか?

投げやりになりきれない、というのがこの曲の核心だと思っています。本当に絶望していたら曲なんか作れないし、でも前向きソングにしてしまうと嘘になる。その間にある、あの曖昧な温度感を大切にしました。

「生きてりゃなんとかなる気がしてる」という歌詞も、確信じゃなくて「気がしてる」なんです。根拠はない。でもその根拠のない予感こそが、夜明け前の一番暗い時間に灯る小さな光なんだと思います。

Q.04

サウンド面でこだわった部分はありますか?

タクシーの中の閉じた空間と、窓の外に広がる夜の街。この二つのスケール感を音で表現したかった。イントロの静けさから始まって、サビに向かって視界が開けていくような構成を意識しています。

雨に濡れた窓ガラス越しに街を見るような、少しぼやけた質感のサウンドスケープ。それが曲が進むにつれてクリアになっていく。夜が明けていく過程を音の解像度で表現できたらと思って作りました。

Q.05

「突然の雷鳴 予報外れの雲」という終盤の展開が印象的です。

それまでずっと曖昧な温度で進んできた曲が、ここで一瞬だけ激しくなる。予想もしなかったことが起きて、でもそこで初めて「自分がここにいるって示し続けよう」という決意が生まれるんです。

雨に濡れた心は、ただ立ち止まるだけじゃない。未来は今も目の前を走っている。だから自分も走り続ける。そのメッセージを、曲の最後ではなくて終盤の転調に込めました。最後は静かにタクシーの中で未来を待っている。それが一番正直な終わり方だと思ったから。

Q.06

この曲を聴く人に、どんなことを感じてもらいたいですか?

夜中にタクシーに乗ったことがある人なら、きっとあの感覚がわかると思うんです。将来の不安とか、選んだ道への迷いとか、でも流れていく街の灯りがどこか綺麗で。

この曲は、そういう夜に一人で聴いてほしい。無理に元気になる必要はなくて、ただ「明日もまた朝が来る」ということだけ感じてもらえたら。それだけで十分だと思っています。

夜明け タクシー 不安 希望
Track Information

Before Dawn

7th Digital Single · 2025.08.15

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